工業材料シリーズ 技術資料

工業材料シリーズの技術資料となります。


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⑧ポリイミド(Polyimide)PIポリイミドは主鎖にイミド結合を有する最も耐熱性にすぐれたプラスチックの一つであり、1960年代初めに宇宙・軍需用としてDuPont社で開発された。熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミドがある。熱硬化性ポリイミドには、縮合型と付加型があり、縮合型ではDuPont社の〈VESPEL〉(切削加工用)、〈KAPTON〉(フィルム)がある。熱可塑性ポリイミドとしては三井化学が、世界で唯一企業化しており〈オーラム〉の商品名で販売している。●構造式●特長(熱可塑性ポリイミド)1)耐熱性にすぐれる。熱可塑性スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、最高のガラス転移温度(250℃)を有しており、高温まで高い強度・弾性率を保持可能である。広い温度範囲において、すぐれた寸法安定性、耐クリープ特性を有している。摺動特性にすぐれる。他のスーパーエンプラに比べ、低アウトガス、低金属不純物、耐プラズマ性を有する。2)3)4)⑨液晶ポリマー(LiquidCrystallinePolymer)LCP樹脂が、高温で溶融したり、溶媒に溶けこんで溶解したりして、流動状態になっても、分子の鎖がほぼ規則的に整列しているような状態を示す高分子を、液晶(性)ポリマーという。ある温度範囲で(サーモトロピック)液晶性を示すもの、あるいは溶液状態で(リオトロピック)液晶性を示すものに分類される。さらに液晶ポリマーは、その液晶構造の発現のもととなるメソゲン基が直接主鎖にのみ入ったもの(主鎖型液晶ポリマー)、側鎖にのみ入ったもの(側鎖型液晶ポリマー)、あるいはその両者に入ったもの(複合型液晶ポリマー)に分類される。サーモトロピック液晶ポリマーでは代表的なものに、ザイダーやベクトラに代表される全芳香族ポリエステルがある。液晶ポリマーの特徴は、一般に耐熱性、すぐれた強度特性、低熱膨張性および配向状態を得やすいことであり、これらの性質を利用して、高強度、高弾性率の繊維としての応用や、成形品として電気、電子部品などに使用されている。●構造式1-28


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