>> P.63
第2章・軽いアルミニウムの特性の中でもっともよく知られているもので、鉄やステンレスの比重が約7.9、銅が8.69であるのに対し、アルミニウムは約2.7と約1/3の軽さである。例えば、一般的な鋼板と見合う引張強度を考慮するとアルミニウムの厚さは鋼板の約1.2倍必要となるが、重量は鋼板の約40%ですむことになる。加工や施工を容易にするとともに、構造体の荷重を低減し構造設計を有利に展開できアルミニウム・アルミニウム合金アルミニウムは他の金属にない数々の特性を持ち、その特性をいかして様々な分野で幅広く使われている。アルミニウム板の特徴を以下に挙げる。る。・耐蝕性がよい何も表面処理をしない生地のアルミニウムは、空気中で自然に酸化し、表面に耐蝕性のよい酸化アルミニウム皮膜を生成し、自己腐蝕防止の作用を発揮する。鉄も処理を行えば多少は耐蝕性が高くなるが、アルミは酸化しやすい金属のため、酸化皮膜が生成しやすく、この酸化皮膜(アルミナ)が保護膜となり、耐蝕性が高まる。アルマイト処理(人工的に、より厚く緻密な酸化皮膜を形成させる処理)などの表面処理を施すと、さらに耐蝕性を高めることができる。・成形加工性がよい成形加工性に極めてすぐれており、切断、曲げ、絞りなどが容易にできる。・強い純アルミは柔らかくてさほど強くないが、銅や亜鉛、マグネシウム、ケイ素、リチウムなどと合金にしたり、冷間加工や硬化熱処理を施すことによって強くなる。高力アルミニウム合金と言われる超ジュラルミン・超々ジュラルミンは鋼鉄に匹敵するほど。・熱しやすく冷めやすいアルミの熱伝導率は、銅の約2/3で、鉄の約3倍。この特長を活かし、冷暖房装置や、飲料缶などの放熱・受熱効果、冷却効果を促進させるものに多く使用されている。・非磁性である・反射性が高いアルミは熱や光、電波をよく反射する。反射率はアルミの純度に比例する。・低温特性にすぐれているアルミは、液体窒素(-196℃)、液体酸素(-183℃)の低温でも鉄鋼のような脆性破壊は起こさず、伸びやねばりが強い(じん性)という特性を持っている。・リサイクル性にすぐれる2-7