工業材料シリーズ 技術資料

工業材料シリーズの技術資料となります。


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◇アルミ展伸材代表的なアルミニウム合金展伸材の一般的性質を示す。★1000系アルミニウム工業用純アルミニウム。1100、1200が代表的で、いずれも99.00%以上の純アルミニウム系材料である。この系の材料は加工性、耐蝕性、溶接性などにすぐれるが、強度が低いので構造材には適さない。強度を要しない家庭用品、日用品、電気器具に多く用いられる。不純物が少なくなるにしたがって耐蝕性が向上する。★2000系合金ジュラルミン、超ジュラルミンの名称で知られる2017、2024が代表的なもので、鋼材に匹敵する強度を持つ。しかし比較的多くの銅を含むため耐蝕性に劣り、腐蝕環境にさらされる場合には十分な防蝕処理を必要とする。溶融溶接性は他のアルミニウム合金に比して劣るため結合にはおもにリベット、ボルト接合、抵抗スポット溶接が行われる。★3000系合金3003はこの系の代表的な合金で、Mnの添加により純アルミニウムの加工性、耐蝕性を低下させることなく、強度を少し増加させたものである。3003に相当する合金にMgを1%程度添加した3004、3104は、さらに強度を増加させることができるのでカラーアルミ、アルミ缶ボディ、屋根板、ドアパネル材などの材料として需要が多い。★4000系合金4032はSiの添加により熱膨張率を抑え、耐摩耗性の改善を行ったもの。4043は溶融温度が低く、溶接ワイヤー、などに使用される。★5000系合金Mg添加量の比較的少ないものは装飾用材に、多いものは構造材として使用される。Mg添加量の少ない合金としては5001、車輌用内装天井板、建材として用いられる5005が代表的なものである。中程度のMgを含有するものとしては5052が代表的で中程度の強度をもつ材料として、もっとも一般的なものである。5083はMg含有量の多い合金ですぐれた強度をもち、溶接性も良好である。この系の合金は冷間加工のままでは強さがやや低下し、伸びが増加するという経年変化を示すので安定化処理が行われる。海水や工業地帯の汚染雰囲気に強く、外観を問題にしなければ防蝕処理を施す必要は比較的少ない。★6000系合金この系の合金は強度、耐蝕性とも良好で、代表的な構造用材として上げられる。ただ、溶接の継手効率が低く、ビス、リベット、ボルト接合による構造組立が行われることが多い。★7000系合金アルミニウム合金のなかで最も高い強度をもつAl‐Zn‐Mg‐Cu系合金と、Cuを含まない溶接構造用Al‐Zn‐Mg合金に分類できる。この系の合金は熱処理が適切でない場合には応力腐蝕割れを生ずることがある。2-8


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