工業材料シリーズ 技術資料

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第2章チタンの比重は4.5であり、鉄とアルミの中間であり、軽い金属である。また比重の割には強度が高く、特にチタン合金は実用金属のなかでも最大クラスの比強度をもっている。毒性が無く、生体適合性に優れ、金属アレルギーの心配もないため、股関節や膝関節など人体各部の骨の補修、矯正用具や義歯用金属床、心臓ペースメーカー、手術用具などに使用されている。チタンの最大の特徴はステンレス鋼よりすぐれた耐蝕性を有していることである。これは表面に形成される不動態被膜によるものであり、この不動態被膜は強固で、破られてもすぐ再生される極めて安定したものである。一般には酸化性、中性の酸や各種の塩化物溶液、有機酸などの腐蝕環境に対してすぐれた耐蝕性を示すが、強い非酸化性の酸または錯塩には腐蝕される。化学的に活性であるため、酸素や窒素と反応しやすいという一面もある。その他欠点としては特に純チタンにおいては磨耗しやすいということがあげられる。またチタン及びチタン合金は非磁性の金属でもある。チタンチタンの種類による材料の特性純チタンと言われるものにはJIS1種、JIS2種、JIS3種、JIS4種などがあるが、材料の特性としては1種がもっともやわらかく、2種よりは3種とだんだん硬くなる。またチタンの純度は1種が最も高く2種、3種、4種とだんだん低くなっていく。チタン合金は代表的なものとしては、高力合金系のJIS60種(通称6-4合金)やJIS61種(通称3-2-5合金)などがあり、耐蝕系合金としては、JIS11種、JIS12種などがある。航空機などに使われることが多いJIS60種は非常に高強度であるが、難削材であり、加工が難しい。この加工性の問題に着目して開発されたのがβ系の15-3-3-3合金などであり、6-4合金とほぼ同等の強度を持ちながら、冷間での加工性は6-4合金よりすぐれている。チタンの化学的性質は常温付近では極めて安定で、フッ素、濃塩素、高温の硫酸を除けば、ほとんどの酸・アルカリ・塩類に対して安定である。海水に対してもすぐれた耐蝕性・安定性を示し、広く実用されている。ジルコニウムは同族であるチタンに極めて類似した金属で、工業的な製造加工技術においても共通点が多い。チタンに比べ、比重が大きく、合金の強度も強力チタン合金には及ばない。耐蝕性はチタンと同等もしくはそれ以上に良好。チタンよりも高価である。ジルコニウム2-9


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