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耐薬品性の不明なものに対しては、あらかじめ十分に検討する必要がある。耐薬品性を判定する完全な方法はなく、以下に述べる諸項目から総合的に判断するのが望ましい。(1)静的浸漬試験による評価静的浸漬試験とは、硬質塩化ビニル板を評価しようとするある条件の薬液に浸漬しておき、定期的に取り出してその変化を調査する方法である。通常浸漬時間は1~3ヶ月とし、1,5,10,30,60,90日後とする。①外観変化…変色、肌荒、浸透深さ、亀裂の有無②重量変化…膨潤、溶出③物性変化…引張強さ、伸び、衝撃強さ、硬度の変化一般に、これらの変化の著しいものほど対象となる薬品に対しての抵抗力が弱い。当初変化があっても、その後平衡値に達する場合は、比較的安定であるが、時間とともに増大、減少するものは注意が必要。(2)動的浸漬試験動的浸漬試験とは、一定にひずみ(又は応力)を与えた試料を薬液に浸漬し、その変化を調査する方法で比較的短時間に耐薬品性を判定しようとする方法である。①応力負荷浸漬法一定の曲げや引張り応力をかけた試料を薬液中に浸漬しておき、クラックの発生時間を調査する方法である。②応力緩和法化学応力緩和は、高分子の構造及び劣化の動力学としてうまく関連づけられるために化学劣化の研究の一手段として用いられている。即ち薬液中で試料に一定の応力を負荷させその応力の時間的変化曲線(応力緩和曲線)より、耐薬品性を短時間に判定する方法である。4-9-3.評価方法-334