>> P.74
74材料状態●クレージング熱可塑性プラスチックに破断応力より低い引張りまたは曲げ応力がかかったときに、応力軸方向に垂直に光学的異物質(屈折率の異なる部分)が生じる現象をいう。材料内部まで貫通した「クラック」とは別種のものである。アクリル板の接着時に発生し易い。これを完全に防止するにはアニーリングが必要である。●ソルベントクラックソルベント(溶剤)の影響により発生するプラスチック成形品の割れをいう。即ちソルベントの雰囲気中ではプラスチックの破壊(割れ)の限界応力が極端に落ちるため、わずかな外部の衝撃や成形加工時の内部残留応力によって発生する。●アニーリングannealing=テンパリング内部応力を除去する目的で行なう熱処理をいう。プラスチックではその種類、成形品の厚さ、形状、残存する内部応力の程度により処理条件は異なるが、普通その材料の熱変形温度より5~10℃低い空気浴中で数十分~数時間加熱したのち徐冷する。必要に応じ変形を防止するために治具を用い、また空気浴中で酸化変色するもの(ポリアミドなど)では水浴または塩類浴中で処理する。金属とくに鋼材では焼入れ後内部応力を除去し靭性を与えるためにアニーリング(焼きもどし)を行なう。●チョーキング(白亜化)顔料及び充填剤を配合したプラスチック、塗料などを屋外にさらすと表面が白色のチョーク状に乾いた外観を呈することをいう。●アンダーカットundercut成形品を型から取り出すとき支障となる型または成形品の凹凸部をいう。普通アンダーカット部分は金型にルーズコアやスライドコアを取り付けて成形し、成形品の突き出し前にこれを手動または自動で取り去る。ネジやボビンのように全周囲にアンダーカットのある成形品は割型で成形する。またポリエチレンのように軟らかい成形品のアンダーカットはスライドコアを使用しなくても無理抜きできることもある。また成形品を金型の突出し側に強制的に付着させるためにわざと小さなアンダーカットを設けることもある。