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②ポリエチレン(Polyethylene)PE1953年、西ドイツのZiegler博士が有機金属化合物を選ぶことにより、極めて低い圧力でエチレンが重合できることを発見し、1955年同国で工業化された。ほとんど同時期に、アメリカのPhillips社とStandardOil社で、中圧法PE製造技術の開発が進められた。我が国では三井石油化学(チーグラー法)が1958年に、昭和油化(フィリップス法)が1959年に生産を開始した。その後エチレンプラントの大型化と技術の改良により飛躍的な発展を遂げた。チーグラー触媒(TiCl4/有機アルミ)を炭化水素溶媒に分散させ、常圧~数気圧の加圧下にエチレンを吹き込む(チーグラー法)、フィリップス触媒(Cr2O3担持型)を用いて20~30気圧下で重合させる(フィリップス法)、プロセス的にはスラリー重合、溶液重合、気相重合法に大別される。●構造式●特長(線状PE)線状分子構造を有しているため、溶融粘弾性挙動の調節は主に分子量分布調節によっている。密度はαオレフィンとの共重合により調節する。極薄強化フィルムは分子設計と加工技術開発により達成されたユニークなものである。ポリプロピレンに次いで比重が小さく、低温特性、電気特性、耐薬品性、耐水性などにもすぐれる。可燃性であること、ストレスクラッキングをおこしやすいことが欠点である。密度によるポリエチレンの分類低密度ポリエチレン(LDPE)0.910~0.925中密度ポリエチレン(MDPE)0.926~0.940高密度ポリエチレン(HDPE)0.941~0.965密度の上昇に伴い、剛性・熱変形温度・引張り強さなどが上昇し、伸びや衝撃強さが低下する。●主な用途例1)2)3)4)フィルム:極薄強化フィルム(レジ袋など)ブロー成形:灯油缶、取手付瓶、温水タンクなど射出成形:コンテナ類パイプ、テープ、ヤーン、モノフィラメントなど※オレフィンとは分子中に二重結合を1個持ち、CnH2nで表せる脂肪族不飽和炭化水素の総称。ポリオレフィンとは、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類の単独重合体、または異種ポリオレフィンとの共重合体の総称で、ポリエチレン、ポリプロピレンなどがその代表的なもの。その他、ポリブテン・ポリブチレン・メチルペンテン樹脂等がある。※ストレスクラッキング(環境応力亀裂)製品が応力を受けた状態で、ある種の液体(界面活性剤・鉱物油・動植物油・強アルカリ等)に接触すると亀裂を生じる。分子量の小さな物にこの傾向が著しい。1-6