工業材料シリーズ 技術資料

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第1章⑤アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)ABS樹脂は1947年にアメリカのU.S.Rubber社のNaugatuckChemicalD.V.で初めてブレンド型ABS樹脂が〈クララスチック〉の名称で工業生産が開始された。その後1954年に同国のMarbonChemical社より〈サイコラック〉の名称でグラフト型ABS樹脂が市販され、現在ではグラフトブレンド法が主流となっている。我が国では1963年より海外からの技術導入、国内自社技術による生産が開始された。ABSはこれら3成分の単なるランダム共重合体ではなく、ガラス状ポリマーであるAS樹脂の連続相に、BR・SBR・NBR等のゴム状ポリマーが微分散した、二相不均一系の構造を持つポリマーアロイである。●構造式●特長経時変化による寸法変化が少ない。塗装、ホットスタンプ、メッキなどができる。耐衝撃強さ、加工性、剛性のバランスにすぐれる。表面外観(光沢)が良好である。顔料などによる着色性が良好である。1)2)3)4)5)●主な用途例車両用電気機器用:自動車関係(インストルメントパネル):テレビのフロントパネル事務機器用・その他:レジスターハウジング1)2)3)※AAS樹脂(アクリロニトリルスチレンアクリルゴム共重合体)(AcrylonitrileStyreneAcrylate)ASAABS樹脂のブタジエンの代わりにアクリルゴムを組成としたもの。耐候性が良好で、性質はABSとほぼ同様である。不透明。※AES樹脂(AcrylonitrileEthylenepropyreneStyreneTerpolymer)AASと同様にブタジエンの代わりにエチレン-プロピレンゴム(EPDM)をグラフト重合した組成。耐候性、耐熱性、耐衝撃性にすぐれる。不透明。※ACS樹脂(Acrylonitrile-Chlorinatedpolyethylene-Styrene)塩素化ポリエチレンにアクリロニトリルとスチレンをグラフト重合したもの。耐候性に加え、難燃性を有する。通常淡黄色の半透明か白色不透明。※AS樹脂(Acrylonitrile-Styrenecopolymer)スチレンとアクリロニトリルのランダム共重合体。ポリスチレンの透明性を損なうことなく機械的強度を改善したもの。引張り強さ、弾性率は熱可塑性材料中最高の部類に属する。1-9


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