工業材料シリーズ 技術資料

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第2章NiとCrとが相互に広い固有限を持ち、共晶反応を示す。この系の合金は、耐熱、耐蝕性が良く電気抵抗率が大きいことが特徴である。そのため、電熱線として用いられており、Niの耐熱性はCrの添加によってさらに向上している。その他の合金元素としては、Mo、W、Coなどが耐熱、耐蝕性を向上させるのにすぐれている。電熱線の化学成分は、表に示すようにNi55%以上、Cr10~26%の間にあるが、Niを多く含むものは現在あまり用いられていない。・インコネル(Ni-Cr-Fe合金)この系の合金も耐熱、耐蝕合金で、Ni72~76%、Cr14~17%、Fe8%、その他少量のMn、Si、C等がその組成である。加工材、鋳造ともに用いる。その他のNi-Cr系合金としては、イリウムの名のNi-Cr-Mo合金があり耐蝕合金である。他に強磁性合金のパーマロイ(Ni-Fe合金)、耐蝕合金D・ニッケル(Ni-4.5%Mn)等がある。電熱線の化学成分(JISC2520)★Ni-Cr合金化学成分(%)最高使用温度CSiMnその他Fe<1.0<1.0<1.0<1.0<1.0残り残り残り(℃)1100100012001100Al--<0.150.75~1.6<2.5<0.150.75~1.6<1.54~62~4<0.10<0.10<1.5<1.5<1.0<1.0タンタル種類NCH1NCH2FCH1FCH2Ni>77>57--Cr19~2115~1823~2617~21元素記号はTa。よく知られているのは、電子部品としてのタンタルコンデンサ。タンタルは白金族に次いで耐蝕性の高い材料である。金属タンタルを侵蝕するのは、フッ酸、発煙硫酸、高濃度アルカリなどわずかである。このような特性を生かして、耐蝕性を必要とする機器、特に医薬品製造機器などに使用できる。融点が高く(2996℃)、高温での強度がある。展延性が極めて良く、加工性に富んでいる。2-11


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