工業材料シリーズ 技術資料

工業材料シリーズの技術資料となります。


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第2章★亜鉛鉄と容易に合金をつくるので、溶融亜鉛中に鉄製品を浸してメッキするいわゆるドブ漬メッキが古くから行われた。薄鋼板に亜鉛をメッキしたものをトタン板と呼ぶが、亜鉛は鉄がさびようとするとき代わりに溶け出して鉄を守る働きをする。亜鉛は銅や鉛に比べると対酸素親和性が大きいので製錬するのが難しく、その歴史は比較的新しい。亜鉛は融点が低いと同時に蒸気圧も高い。純亜鉛は結晶が発達して脆いが、アルミニウムを4%加えると非常にかたく強くなるので、精巧な鋳物をつくるダイキャストがメッキについで第2の用途となっている。★鉛鉛は重く、やわらかい金属であり、自動車用バッテリー等に使用される。鉛は放射線を通しにくい性質があるので、放射線防護用に鉛ブロックが使われる。純鉛の融点はセ氏327度で、合金にするとさらに融点が下がるので鉛を主成分として種々の易融合金がつくられる。ハンダやヒューズがその例である。鉛は耐蝕性でとくに酸に対する耐蝕性があるので、化学装置の内張用として用いられる。鉛はたたいても鈍い音しかしないように、音や振動の吸収体として有効である。新幹線や高速道路あるいは防音室などには鉛の防音壁が用いられている。鉛は身体に蓄積すると有毒で、いわゆる鉛毒をもたらす。亜鉛・鉛コンクリートコンクリートは、「セメント、水、細骨材(砂)、粗骨材(砂利)および必要に応じて加える混和材料を、練り混ぜ、その他の方法によって一体化したもの」とされており、まだ固まらない状態のものを"フレッシュコンクリート"、硬化したものを"硬化コンクリート"という。セメント、水、細骨材だけで粗骨材(砂利)の入らないものを"モルタル"、セメント、水だけのものを"セメントペースト"とよぶ。コンクリートは、セメントをはじめとして材料の種類、コンクリートの作業性、工法、強度、比重、使用目的などによって非常に多くの種類に分けられる。コンクリートは、セメント粒子と水の化学反応で生成した水和物がセメント粒子同士を結合することによって硬化する。しかし、セメントペーストだけで構造物を造ると、硬化(乾燥)時の収縮率が高いため多数のひび割れが発生する。そこで、収縮率の極めて低い骨材を入れることにより、コンクリート全体の収縮率を低くする。コンクリートにはセメントの水和に必要な水量よりもかなり過剰な水分が含まれており、pH12以上の強いアルカリ性を示す。そのため、一見コンクリートの表面が乾燥しているように見えても、合成樹脂系の防蝕被覆材を直接施工すると、被覆層との界面に水蒸気圧などが発生することにより、剥離、ふくれ、ひび割れ等が発生したり、防蝕被覆層がアルカリによって劣化したりする場合がある。2-13


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