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4-4-10.繰り返し疲労材料に応力を繰り返し加えることによって、材料が劣化し、破壊に至る現象を疲労という。疲労試験の結果は横軸に疲労寿命の対数値を、縦軸に繰り返し応力をとった、いわゆるS-N曲線の形で表される。S-N曲線は応力振幅がある限度以下では水平になる。これはこの限度以下の繰り返し応力では疲労破壊が起きないことを示すもので、疲労限度(限界)と呼ぶ。プラスチック材料では、応力振幅が水平にならない場合も多く、便宜的に107回の繰り返しに耐えうる応力振幅を疲労限度としている。繰り返し疲労は、温度変化によって生じる膨張、収縮や振動などによって起こる。疲労限度の値を静的破壊強度で割った値のことを比疲労強度という。各種プラスチックの疲労限度(参考値)疲労限度(MPa)107サイクルポリ塩化ビニルポリスチレンポリエチレンポリカーボネートポリプロピレンメタクリル樹脂ポリアセタールABS樹脂16.710.011.09.811.027.726.911.8-4-11.ノッチ効果硬質塩化ビニル板は、ノッチ(切欠き)の影響が非常に大きく、ノッチが鋭角になるほど衝撃強さの低下が大きく低温になるほど破壊しやすくなる。衝撃強さはノッチ(Vノッチ)のないものに比べノッチのある場合は、約1/8~1/10まで低下する。ノッチの影響は、20℃以下の低温部で敏感に現れる。これは、ノッチ底部に生じた集中応力が比較的高い温度では、塑性変形になり応力が緩和されるのに対して低温部では応力緩和がなく、ぜい性破壊を生じるためと考えられる。したがって、プレートの機械加工時の取り扱い時には、亀裂、切り欠きなどを作らないように、また、溶接加工時にコゲやみぞを作らないように特に注意すべきである。4-214