工業材料シリーズ 技術資料

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4-5-2.塩化ビニル板の温度による膨張と収縮の挙動サンロイドプレートの温度による膨張と収縮の挙動を下図に示す。プレートの品種により温度特性は異なるが、その傾向は類似している。サンロイド工業用プレート(A777S)を例にとって説明する。20℃である一定の長さにあったプレートは加熱されるにつれ膨張し長くなる。荷重たわみ温度(75℃)付近で最大となり、これを冷却するとまた元の長さにもどる。この区間(A-B)の挙動は熱膨張によるもので、このように温度差による伸縮度合いを数値で表したものを線膨張係数と呼ぶ。荷重たわみ温度を超えて更に加熱すると、板の製造中に生じた内部ひずみが加熱されることにより復元し、逆に収縮する。これは熱可塑性樹脂の一般的な特徴で、熱加工成形した際の延伸又は圧縮によって残留したひずみが再び加熱されることにより、もとにもどろうとする性質があることを示しこの現象を加熱復元性と呼ぶ。この区間(B-C)は加熱後冷却しても元の長さにもどらず(C-D)のようにさらに直線的に収縮する。このAとDの伸縮率の差をC温度における加熱伸縮率と呼び、線膨張係数のような反復性はない。一度加熱処理を行ったプレートを更に加熱冷却を繰り返すと(D-E-F)の様に収縮度合は極めて小さくなる。一度加熱処理することにより、そのプレートが持っている残留ひずみを少なくする工程をアニーリング(焼鈍)という。-5-3.線膨張係数プラスチックの線膨張係数は、他の材料と比較すると大きく、硬質塩化ビニル板では鉄の約6~7倍もあるため、温度変化に対する寸法変化およびその時に発生する熱応力による破壊を十分考慮しておかなければならない。サンロイドプレートの線膨張係数と温度の関係を表4-1に、他材料との比較を表4-2に示す。4表4-1サンロイドプレートの線膨張係数と温度との関係A1005.47.07.37.87.9HT795SKDF7300D5.46.26.46.77.27.49.19.110.9-EI7806.07.67.88.38.6-234A777S5.97.07.67.88.0品種温度30~40℃40~50℃50~60℃60~70℃70~80℃


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