工業材料シリーズ 技術資料

工業材料シリーズの技術資料となります。


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A100HT795SKDF7300D4-5-5.加熱復元性塩化ビニル板を熱加工する際に延伸または圧縮により生じた残留ひずみが、再加熱することにより、もとに戻ろうとする性質を加熱復元性という。この現象は加工温度が低いほど、また再加熱温度が高いほど大きくなる。したがって使用温度が高く、復元が問題となるような成形物を加工する場合には、できるだけ高い温度で長時間加熱するのがよい。サンロイド工業用プレートの加工温度と再加熱温度の組み合わせに対する復元率を下図に示す。一般に硬質塩化ビニル板は、荷重たわみ温度より60~70℃高い、140℃付近で熱加工をするが、この温度で加工したものは、連続使用限界温度の60℃付近では、加熱復元を起こさないことが図から判断できる。これは加工温度の妥当性を裏付けている。-5-6.加熱寸法変化加熱寸法変化は、板の製造中に生じた内部ひずみが再加熱することにより復元伸縮してでてくる性質で、プレス板、押出し板ともに不可避なものである。この寸法変化は一種の加熱復元性といえる。しかもこの寸法変化は、冷却しても元に戻ることはなく、線膨張係数のような反復性はない。また、ある温度で加熱して一度寸法変化させてしまうとその温度以下で再加熱しても寸法変化度合いははるかに小さくなる。このように一旦加熱処理を行うことにより、そのプレートが持っている内部ひずみを除去する工程をアニーリング(焼鈍)という。サンロイド工業用プレートの温度による加熱寸法変化率の一例を下表に示すが、板厚、温度、時間によって左右されるので注意を要する。温度別加熱寸法変化率(単位%)4品種温度120℃130℃150℃170℃A777S-0.9-1.2-2.5-5.0EI780-0.8-0.8-2.0-4.8-0.9-1.2-2.5-5.3-0.9-1.2-2.5-5.3加熱時間-0.9-1.2-2.2-5.030分-254


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