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硬質塩化ビニル板は、体積固有抵抗値1015Ω・㎝以上、耐電圧11kV/㎜以上と電気的に非常にすぐれた絶縁材料であり、電気材料として多く使用されている。この電気絶縁性に加え耐蝕性を利用して、銅、亜鉛、鉛、カドミウム等の非鉄金属の電気メッキ槽などに広く活用されている。絶縁性がよい反面、その表面に発生した静電気により、塵埃を吸着しやすいという欠点もある。これを防止するには、帯電防止剤(サンクリーン)を表面に塗布すると非常に効果がある。但し、水洗や摩擦によって帯電防止効果はなくなるため、再塗布が必要となる。○表面抵抗(surfaceresistance)ある物質の表面に接した2本の電極間の電気抵抗をいう。○体積固有抵抗(volumeresistance)ある物質の1㎝立方体において、その相対する両面に電圧を加えた場合の両面間の電気抵抗のことで、材料の電気絶縁性を表す。○飽和帯電圧(saturatedchargevoltage)物体が電圧を持つことを帯電といい、絶縁体の摩擦の際にはしばしばこの現象が現れる。飽和帯電圧とは飽和値に達したときの帯電圧である。○半減期(halflife)飽和帯電圧が半分の値まで減衰するのに要する時間。○耐電圧(electricstrength)絶縁物に電圧を加えた場合、一定時間耐える最高電圧をいい、一般に適応周波数(50~60Hz)の電圧を0から一定電圧まで上昇させ、その電圧を1分間耐えられなくなった電圧を表す。○絶縁破壊強さ(dielectricbreakdownstrength)絶縁材料を電極に挟み、電圧を印加していくと、電流は増加し材料の絶縁性は失われる。これを絶縁破壊という。試験片が絶縁破壊したときの電圧を試験片の破壊点もしくはその付近の厚さで除した値で表す。絶縁破壊強さは、試験片の厚さ、周囲媒質の種類、電極の形状、寸法、電圧上昇速度などによって大きく影響される。○誘電率(dielectricconstant)コンデンサに絶縁体(誘電体)を入れたときと、真空のときの静電容量の比をいう。蓄積された静電エネルギーの大きさの程度である。○誘電体力率(powerfactor)交流電圧および電流が時間の正弦関数で両者の位相差がθであるとき、その平均(有効)電力はP=EI・tanθとなる。(E、Iは電圧、電流の実効値)この時のtanθをいう。誘電正接ともいう。要するに絶縁体(誘電体)=コンデンサ成分による損失を表す言葉である。したがって、誘電体力率が大きいということは、絶縁体によって電力損失が多く発生していることを意味する。○耐アーク性(arcresistance)絶縁体表面に高電圧が加わったとき発光放電が生じることをアークといい、アークの発生が消減して導電路を形成するまでの時間を表す。4-6.電気的性質-294