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有機溶剤に共通の性質として、臭気が強く、長時間高濃度の蒸気を吸入するのは危険である。従って、作業場は換気設備を備える必要がある。また、高湿度環境下で接着を行った場合、接着面に白濁を生じやすくなるため、湿度は低く調整することが望ましい。溶剤型接着剤は、揮発性が高く一般に引火性であるため火気には十分注意するとともに、ふたを開けたままで長期間放置したり、コップ等に移し替えて、終日放置するようなことは避けなければならない。接着剤のふたを開けた状態で長期放置した場合には、低沸点の溶剤成分のみが減少し、接着強度を低下させる要因となる。⑥接着溶剤型接着剤は、筆塗りもしくは、注射器を用いて接着面に流し込む。接着剤は流し込み過ぎないよう注意し、均一に行う。強度を要する箱などのコーナー部にはサンロイド補強棒(△型や□型)を用いて補強する。0.2~0.49MPa〔2~5kgf/cm2〕の押し圧を加え、保持する。接着剤は、静電気によって吸い寄せられ、接着部以外に付着することがあるため注意する。マスキングを剥がした際の帯電などは、十分に除去した後に接着を行う。第8章⑦接着品の移動固着前に動かしたり、押し圧が急激に変化した場合、接着面に気泡が入り外観を著しく低下させる場合がある。押し圧を開放し、次工程に移るには、初期強度が発現するまで十分に養生させることが望ましい。初期強度の発現は、接着剤の種類、被着体の材質、接着環境、接着面積などによって大きく異なるが、30分程度が目安となる。接着強度が完全に発現するには1週間程度かかり、最低限1日は、梱包や輸送は避けるべきである。溶剤が十分に揮発していない製品を梱包した場合、梱包内に接着剤揮発成分が充満し、材料強度の低下を招く恐れがある。★トラブルQ&A8-39