工業材料シリーズ 技術資料

工業材料シリーズの技術資料となります。


>> P.360

①溶接母材および溶接棒の特性各材料用に用意されている溶接棒を使用する硬質PVC板の溶接に同じ硬質PVC板用溶接棒を使用した場合でも、溶接棒の配合や硬さ、形状によって得られる強度は異なってくる。従って、基本的にプラスチック板の溶接は、定められた溶接棒を使用することが望ましい。溶接母材や溶接棒自体の特性として溶接強度が得にくい材料もあるため、溶接に適した材料を選定する必要がある。②溶接母材および溶接棒の清浄度合溶接棒・溶接面の汚れは禁物溶接部分への手あかや油脂分、埃の付着は溶接強度を低下させる要因となるため、溶接個所及び溶接棒は、溶接前にエチルアルコール等で拭かなければならない。③温度、風圧、風量・熱風温度材料に応じた設定温度スライダックを調整することにより希望の熱風温度を得ることができる。熱風温度測定は実際の作業を考えてホットジェットガンのノズルの先端より10㎜の位置で、温度を細径の水銀温度計又は熱電対などで測定する。溶接適性温度は硬質塩ビ板及びカイダック板は220℃~230℃で、耐熱塩ビ板は、240℃~250℃である。PPやPEは、焦げは発生しないが、高温で溶接した場合、酸化劣化や熱劣化によって、溶接強度が低下する。溶接適性温度が熱分解温度を上回っているが、溶接部を効率的に溶融させるためにはこの程度の温度が必要であり、高温熱風が当たる時間が短時間であることから、適切に溶接を行えば、熱分解は発生しにくい。温度計のない場合はホットジェットガンの先を溶接棒に近づけ、熱風を当てたときに溶接棒が溶けて流れ、その部分が僅かに焦げはじめる手前の温度に調整する。実際の溶接においては多少溶接温度が高くても、溶接部からノズルまでの距離を調整したり溶接速度を調整することによって溶接適性温度を得ることが出来る。・風圧、風量風圧・風量は熱風温度の調節と一緒に行う風圧は普通19.6~49.0MPa〔0.2~0.5kgf/cm2〕程度が用いられる。風圧が低ければ表面だけが加熱される傾向があり、焼けが発生し易い。風量と熱風温度には密接な関係があり、熱風温度を適切に設定した後、風量を調整した場合、熱風温度が変化し、溶接作業に支障をきたす場合がある。(3)溶接強度を得るためのポイント溶接部の強度を左右する要因は種々考えられるが、主な点を以下に示す。8-42


<< | < | > | >>