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ポリ塩化ビニルやポリオレフィン系樹脂などには高周波高圧法によるテスラーコイルテスターが使用されている。テスラーコイルテスターは、テスラーコイルで高周波高電圧をつくり、高圧端子から金属片に放電する火花の長さを10~15㎜程度に調節し、その高圧端子を検査面からわずかに離し、たえず場所を移動し火花放電をさせながらテストする。ピンホールが存在すると、火花はピンホールに直線的に集中し、それまで薄紫色であった火花が白色に変化する。プラスチックは火花放電の前に起こるコロナ放電に弱いので、正常なプラスチックもこうした放電で絶縁抵抗が低下し、ついには破壊に至る可能性がある。これはプラスチック表面におけるコロナ放電による加速電子の衝撃、オゾンの発生、酸化窒素群などの化学作用によって絶縁力が低下するためで、この作用は高電圧になるほど強くなる。そこで同じ火花放電であっても高周波を用いると電圧が低下することを利用して絶縁力の低下を防止している。※テスラーコイルテスターの安全作業第8章このテスターは人体に触れても低周波高圧法のものよりも受ける衝撃が小さく安全性が高く、取扱いが容易であることから一般的なテスターとして広く用いられている。一般にテスラーコイルは火花放電によってオゾンを発生する。オゾンを吸入すると吐気を催し、眼球が充血してくるので、密閉容器内における操作はもちろん開放型容器類の検査においても十分な換気を行う必要がある。塩化ビニル板の絶縁破壊圧は一般に厚さ1㎜に対して23~30kVである。このことから例えば1.5~2.0mm厚の塩化ビニル板のライニングにおいては、ビード部に対し12kVのスパークにより検出を行う。一般に使用されるテスラーコイルは三段切替で(高圧:15kV、中圧:12kV、低圧:8~9kV)テスト条件としては次の通りである(塩化ビニル板1.5~2.0mm厚)。ピンホールは肉眼観察で見つけることは事実上不可能であるため、各種テスターなどが用いられる。プラスチックは電気の不良導体であり、一方金属は良導体であるので、これを利用して電気絶縁力の測定によってピンホールを検出する各種テスターが考案され実用化されている。・低周波高圧法・直流高圧法・直流低圧法・高周波高圧法・直流中圧法(5)溶接部の判定①ピンホール・スパーク・走査速度・距離(スパークの長さ)・テスト回数:中圧目盛(12kV):3~5m/min(場所により多少違いがある):平均10㎜:塔槽類では溶接終了後1回。水張試験終了後1回以上。8-53