工業材料シリーズ 技術資料

工業材料シリーズの技術資料となります。


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鉄フレームにフレームカバーなどを用いてPVCで被覆を行うような場合には、線膨張による伸びの違いを吸収することは難しい。特に装置類は構造が複雑なため、溶接個所が密集したコーナー部などに割れが多く発生する傾向にある。こういった装置類の割れは、低温下で線膨張による縮みが発生し、鉄フレームによって縮みが阻害されるため、PVC板に応力が集中し、割れに至っているものと考えられる。溶接部の強度が比較的低いもの、シート厚さが薄いものは、溶接部付近で比較的高温0~5℃で割れる傾向にある。強固に溶接されたものは割れの発生温度は-10~0℃と低いが、溶接部分だけではなくシートにまで破損が広がるケースがあり、修正が困難となる場合がある。装置類は、一般的に、納入後は比較的安定した温度環境下で使用されるケースが多いことから、特に運搬時の温度管理が重要となる。③振動常時振動がかかるような場所に設置される場合には、ボルトのゆるみなどを考慮する必要がある。ボルトのゆるみ防止のため、ネジロックなどが使用される場合があるが、ネジロックはプラスチックに影響を与える場合が多いため、使用に当たっては十分に注意し、プラスチックへの付着は避けなければならない。(2)加工上の注意①穴あけボルト穴をあける際には、ノッチの発生を防ぐため、新しいドリルか良く研磨したドリルを用いて、適性加工条件で加工を行う。加工部にノッチがあると、僅かな衝撃や応力、繰り返し疲労でクラックを生じる可能性がある。金属の穴あけ加工の際などに使用される潤滑剤は、プラスチックに影響を与えるものがあるため、使用してはならない。切り粉の融着やむしれ断面が問題となる場合には、冷却エアや冷却水を使用する。②ボルトのピッチボルトのピッチは、使用用途や条件に応じて、適宜設定しなければならないが、目安としては板厚が3.0㎜以下板厚が3.0㎜を超える:10~20㎝ピッチ:20~30㎝ピッチオレフィン系樹脂など、線膨張係数が大きく、曲げ弾性率の低い材料は、ピッチを小さくする。③ワッシャプラスチック板にボルトを直に締め付けると、荷重負荷時や熱応力発生時に、集中応力となってクラックが発生する場合がある。必ず大きめのワッシャの上から締め付けを行い応力を分散させる必要がある。※参考8-60


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