プラスチックの基礎知識

住友ベークライトのプラスチック基礎知識(技術資料)となります。


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422.10線膨脹係数(coefficientoflinearexpansion)●物体は、温度の上昇によって膨脹し、下降によって収縮する。温度1℃の変化によって生ずる物体の伸縮量(長さ)を物体の原長で除した値をその物体の線膨脹係数といい、一般にα(アルファ)の記号で表わす。●線膨脹係数は、温度変化に伴う伸縮量及び熱応力を知る為に利用する。(例)ポリカエース3.0㎜厚、1000×2000㎜板を冬場10℃で施工した。夏場40℃に気温が上昇した。この場合長辺の線膨脹による伸びを求めよ。(但しポリカエースのα=7.0×10-⁵/℃とする。)(解)△ℓ=ℓo×△t×α△ℓ=線膨張による伸縮量(㎜)ℓo=材料の元の長さ(㎜)△t=施工時の温度と施工後の温度差(℃)α=その材料の線膨脹係数(/℃)上式より△ℓ=2000(㎜)×(40-10℃)×7.0×10-⁵/℃=4.2㎜●プラスチックは、鉄にくらべ約6倍の線膨脹がある。よってプラスチックで設計する場合、この伸縮をいかに吸収するかが最大のポイントとなる。2.11熱伝導率(thermalconductivity)●伝導による熱量が物質中を移動するとき、その移動速度は物質の種類と温度差により異なる。熱伝導率は温度差1℃面積1㎠の物質を1秒間に通る熱量をいう。●一般にプラスチックは、ガラス・金属に比し熱伝導率が小さい。即ち熱がつたわりにくい性質がある。2.12耐候試験(weatheringtest)●プラスチックの耐劣化性試験の一種で、自然の天候および人工の条件下における材料の劣化を調べる試験。試験方法には屋外曝露試験と促進曝露試験がある。前者は試料を南向き45°に保持して屋外に自然放置する法(ASTMD1435)で簡便であるが試験結果が得られるまで長期間を要し、試験場所によって自然条件に差があるなどの欠点がある。後者は耐候性試験機を用いて自然条件より数倍強い天候条件を試験機内でつくり出し、短時間に試料の耐候性試験を行なう方法である。試験機には光源の名称から分類してサンシャインカーボンアーク式、キセノンランプ式耐候性試験機などがある。


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