プラスチックの基礎知識

住友ベークライトのプラスチック基礎知識(技術資料)となります。


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72●誘電率dielectricconstant,permittivityコンデンサ(蓄電器)に誘電体を入れたときの静電容量と空気を入れたときの静電容量との比をいい、εで表わす。電束密度(D)と電界の強さ(E)との比(D/E)として定義することもできる。誘導率は物質の誘電分極に関する性質を表わすもので、プラスチックを電気絶縁体として利用する場合、きわめて重要な特性である。誘電分極は、①分子や原子の中の電子の分布が電場によって移動する(電子分極)、②異種の原子またはイオンが電場により相対位置を変ずる(原子分極、イオン分極)③異種原子の存在により正負電荷の位置がずれているような分子(双極子という)が電場によって配向する。などの原因によって起こるのであるが、この総和が誘電率として現われるのである。●耐アーク性arcresistance絶縁材料のアークに対する抵抗性をいう。一般に有機物質表面でアークを発生させると有機物はアークの高温により分解し、やがて炭化する。この分解あるいは炭化現象はまず電極付近において起こり漸次電極間に広がってゆく。電極間が完全に炭化し導電路を形成(アークトラッキング)した状態でアークは消滅する。プラスチックのアークトラッキングを起こすまでの時間は材料の種類によって大幅に異なり、概念的には芳香環を含まない、また炭素主鎖の途中にNやOなどが結合している材料―たとえばアミノ樹脂―は炭化しにくく、耐アーク性がよい。逆にフェノール樹脂は耐アーク性の悪い材料の代表である。


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